他愛のない話題が続く。今度開かれる飲み会の業務連絡、来れない人を惜しむ言葉。本当に、だらだらと続くメール。
 携帯の画面とにらめっこしながら、この歯がゆさに泣きそうになった。メールを送信し、次に返ってくるのは何時間後かな、とため息をつく。素っ気ないメールを返すのも一苦労であるのだ。なにより、あっちにメールを続ける意志をみつけられない。なんて無駄な。でも続いているから不思議である。数時間に一、二通で九割が業務連絡であったとしても、だ。普段なら切れているはずだが、これはいかに。

「…ま、私は別にいいんだけどね」

 好きな人とメールできることが嬉しいわけであるし。あぁでも、こんなものばかりでは寂しいったらありゃしない。片思いで、私の場合は遠恋は避けられないから選んだ選択肢だけど、寂しい。夢と好きな人を量りにかけて悩んで悩み抜いて選び取ったことだけど、ひどく寂しい。諦めたいけど、彼には彼女がいない。女の気配はあるのに、決定打がない。告白して砕け散るのも、怖い。あぁ面倒なこの感情、どうしてくれよう。

「…食満、お前に好きだといえたらどんなにいいだろうね」

 メールでも電話でもいえない臆病な私。きっと私はこのまま、この苦く寂しい気持ちを抱えたまま初恋を終わらせるのだろう。つまらないメールのやり取りに幸せを見いだして、蕾のまま終わらせてしまうのだろう。あぁなんて小心者には相応しい終わり方。
 だから、どうかいまだけは。
 ちかちか光る携帯に手を伸ばし、薄い繋がりが途絶えないよう願った。



初恋は咲かせないと決めた