ぐらりぐらりと視界が揺れて頭が痛かった。
 最近はよく眠れなく、目の下に住まわしてしまっている隈に家族たちがうるさかった。心配してくれるのはありがたいけど鬱陶しくて仕方がない。それを察してくれた一番上の兄は、ほかの家族たちのストッパーとして働いてくれていた。そんな、気配りが上手な兄が一番すきだった。
 吐き気に襲われるがなにかでる様子もない。最近ご飯を食べた記憶がなかった。このままではやばいなぁとは思うけどどうにも食べる気力がおきない。このまま死んでしまうのだろうかと、そんな考えがよぎるがその瞬間に死んでたまるかとも思った。
 師匠との約束はこれ以上破りたくなかった。
 これからも、破るつもりはない。
 そのためにはまず、食事をとって眠らなければ。いまはもう日が沈んで月が高くのぼっている。食事をするなら朝、起きてからの方がいいだろう。再び布団に体を横たえて、目を閉じる。ゆるくゆるく訪れる睡魔に身を任せながら、今度はもっとまともな夢をみれるようにと願った。
 睡魔で朦朧とする頭で潮の匂いをつれてきた風に、海を見に行こうと思った。

 あの浜辺へ。