第一印象はだたの一般人、普通の子。それが変わったのは二言三言話してから。おかしな子だと、面白いとも思った。





 情報収集に便利だし、持っておいて損はないハンター証を取りにきたはいいがあまり 気乗りすることではなかった。ものすごい難関だとかいわれているらしいが試験会場に集まってる奴らが 雑魚じゃたかが知れてる。さっさと終わらして帰る、それだけしか頭になかった。いっそ人数でも減らして試験官の手助けでもしてやろうかなー、なんて考えながら走っていると突然声をかけてきたのがその子だった。
 なんの変哲のない、よく街でみかけそうな女の子。ただその歳にしては少し落ち着きがあるだけの一般人。第一印象はそんなもの。丁度退屈していたところだったし相手をしてあげると、聞きたいことがあり、それは試験内容のことでどうやら寝過ごして聞き逃したらしいとのこと。
 面白い冗談だと笑い飛ばせば本人はしばらく笑って笑顔のまま不機嫌そうに本当です、とかいうもんだから、軽く謝って更に笑ったら仏頂面になったから本当なんだと呆れたのはまだ数時間前のことだ。第一印象を見事に裏切ってくれたその子に多少なりとも興味を持った。退屈なハンター試験を少しは面白くしてくれるかもしれないと期待した。 むしろ直感に近いもの。それは珍しく当たったらしく、打てば返ってくる反応や俺に振り回されるその子は 見ていて面白かった。だけどいい加減名前を教えてくれてもいいと思う。(聞いてもいまだにしがない一般人だと通して意地でも教えてくれる気はないみたい)
 それにしても、本当にいい掘り出し物なんじゃないかな。そう考える視線の先ではあの子がまた一人、気付かれずに男を気絶させた。その手際の良さ、隠れるときだって(気配を完全に殺してはいなかったとはいえ) 自分がいるところに一瞬視線をよこしたりと、面白いだけじゃなくそれなりに強い。 そして身包み剥いで木に縛り付けるなんていい性格もしてる。
 なにより強い眼が気に入った。

「なに気持ち悪い笑み浮かべてるんですか」
「気持ち悪いだなんて心外だなー」
「ストーカーまがいのことしてる時点でアウトですよ」

 深く溜息をつくその子を笑ってみていればなにか思いついたように顔をあげた。
 
「シャルナークさんって、なんでこんなストーカーまがいのことしてるんですか?」

 純粋な疑問だとその目が訴えていた。そんなの決まってるのにねぇ。

「面白そうだったからだよ」

 その言葉にまた、深く溜息をつくのをみてぐしゃぐしゃと頭をかき回すように撫でてみた。痛い!と拳を突き出すその子に笑ってかわしたりしてみると、相手も悔しかったのか再度拳を突き出してくる。しばらくそうじゃれあっていると二人してなんとなく笑い出して、並んで木にもたれかかって夕暮れの空をみた。

 君といると、本当に面白いよ。