山にこもって修行すること三ヶ月と少し、常人離れした身体能力と念の基本、 四大行とその応用も一応習得しました。





「短い間によくここまでこれたもんだわさ」
「それは過酷を極めたかのようなスパルタメニューだったからだと思います」

 本当にきつかった。最初の二ヶ月ほどは体力づくりだったが 何度死んだほうがましだと思ったことか。念のことに関しても外法でおこされ苦労した。 出来たと思ったら訓練中はずっとそのままでいろなどいろいろ無茶な注文をしくさってくれるし、倒れたら倒れたで師匠のクッキィちゃんで回復し、また訓練へと戻されるし。そのおかげで堅は丸2日ほどなら維持できるようになってしまった。むしろそれができなければ生き残ってすらいなかったと思う。思い出したくもない。

「いいじゃないのよさ。早く強くなれて」
「あの過酷さは一度ご自分で受けられたほうがいいですよ、師匠」

 ビスケのことも師匠と呼べるようになった。だけどやっぱり自分の中の師匠は あの人しかいないのでビスケと修行しているときしかその呼び名は使わない。

「あたしはいいのよ。強いから。」
「そりゃそうですけどー」
「はいはい、ぐちぐちいわない」
「きぃー」

 確かにビスケは強い。とくに体術とか。組み手で何度弾き飛ばされ投げられたかわからない。 そのぶん打たれ強くなったしそこそこ強くなったと思う。ビスケからも三十本中一本はなんとかとれるようになった。 本当に血反吐はきながらの修行によく耐えられたなと自分を褒めたいくらいだ。ていうかむしろ褒めろ。褒めてくれ。生きていることを。

「さて、あんたもそこそこ強くなったし系統別修行に取り掛かろうと思う」
「師匠ー」
「はい、なんですか我が弟子」
「自分の系統を知りませんー」

 知識としては六つだったかの系統があるとは習ったが、体術を中心に訓練していたから まだ自分がどこに属すのか知らなかった。

「それはちゃんと調べる方法があるからまずそれをする」
「あー、っと、ミズミシキ、ってやつですね」
「はい、きちんと発音しましょー、ねっ」

 すぱーん、とビスケの平手が飛ぶ。瞬時に反応してどのくらいのオーラが込められているか判断して、煉を纏った。ばちん、と頭にあたるがそれほどは痛くなく、どうやら見極められたようだった。このようにして、話中でもいつでも隙あらばビスケから平手が飛んでくる。その平手は練か堅で防御しなければ怪我は当たり前、 最悪ぶっ飛ぶという最凶の平手だ。これも修行とかで、普段からできるしということで日常生活でも随分ぶっ飛ばされた。やっとのことぶっ飛ばなくなったのはつい最近のことだったりする。

「師匠」
「はいはい、それじゃあ調べましょうか」

 半眼にして恨みがましい視線を送っても軽くかわされきっと自分が生きている間は 絶対に敵わないんだろうなぁと漠然と思う。ていうか、勝ちたくない。

「、っていいたいんだけど時間がないのよねぇ」
「は?」
「だから時間がないんだわさ」

 突然なにを言い出すかと思えば時間がない。時間がないといっても調べるのに そんなにかかるわけでもないし一体なんなのかよくわからない。

「実はね、ハンター試験、もう始まってるのよ」
「それがどうかしましたか?」
「うん、それにあんたを登録しといたからさ」

 なにをおっしゃるうさぎさん。

「ハンター証、とっといで」

 誰か嘘だといってくれるとありがたいです。だけど現実はそう甘くなく、笑顔で送り出されました。